「休みの日はしっかり寝ているのに、疲れが取れない」
「なんとなく調子が悪いけど、夜勤のせいだと思って諦めている」
夜勤を含むシフトで働く方から、こうした声をよく聞きます。今回は、夜勤者の方に向けて、「なんとなく不調」との向き合い方についてお話しします。
夜勤者の「なんとなく不調」は、実はとても自然なこと
まず知っていただきたいのは、夜勤による「なんとなく不調」は、決して気のせいや甘えではないということです。
人間の体には体内時計(概日リズム)があり、本来は日中に活動し、夜に眠るようにできています。夜勤はこのリズムに逆らって働く形になるため、体にとってはかなり負担の大きい働き方です。看護師である私自身も夜勤を経験しており、この負担は身をもって理解しています。
体内時計が乱れると、次のようなサインが現れやすくなります。
■休みの日にしっかり眠ったつもりでも疲労感が抜けない
■胃もたれ、食欲不振、便通の乱れなど消化器の不調
■気分の浮き沈みが激しくなる、イライラしやすい
■集中力や判断力の低下を感じる
■肌荒れや、なんとなく体が重い感覚
■生理周期の乱れ(女性の場合)
これらは単発では見過ごされがちですが、夜勤が続く中でじわじわと蓄積していくのが特徴です。
なぜ夜勤は「なんとなく不調」を招きやすいのか
夜勤による不調の背景には、いくつかの要因が重なっています。
まず、睡眠の質の問題です。日中の睡眠は、周囲の音や光の影響を受けやすく、たとえ同じ時間眠っても、夜間の睡眠に比べて質が落ちやすいことが分かっています。
次に、食事のリズムの乱れです。夜勤中の食事は、時間が不規則になったり、コンビニ食に偏ったりしがちです。深夜の食事は血糖値の変動も大きくなりやすく、胃腸への負担も増えます。
さらに、ホルモンバランスへの影響も見逃せません。体内時計の乱れは、自律神経やホルモン分泌にも影響し、それが気分の波や消化器症状として現れることがあります。
こうした要因が重なることで、「なんとなく不調」という形で体がサインを出しているのです。
「夜勤だから仕方ない」で終わらせないために
「夜勤をしている以上、多少の不調は仕方ない」と思っている方も多いかもしれません。もちろん、勤務形態による負担をゼロにすることは難しいですが、工夫次第で軽減できる部分は確かにあります。
睡眠の質を高める工夫
日中に眠る際は、遮光カーテンやアイマスクで光を遮り、耳栓などで音を遮断することをおすすめします。就寝前にスマートフォンの強い光を浴びると、寝つきがさらに悪くなるため、勤務後は控えめにするとよいでしょう。
また、夜勤明けにすぐ寝るのではなく、軽く体を動かしたり、シャワーを浴びたりしてから眠ると、寝つきや睡眠の質が改善する場合があります。
食事のタイミングを見直す
夜勤中の食事は、消化に負担のかかる脂っこいものよりも、消化に優しく、たんぱく質やビタミンをきちんと摂れるものを選ぶことをおすすめします。おにぎりだけで済ませず、ゆで卵やヨーグルト、野菜スープなどを組み合わせると、体への負担が軽減されます。
深夜の食事量は控えめにし、勤務明けの食事も消化に優しいものを意識してみてください。
休みの日の過ごし方
休日にまとめて予定を詰め込みすぎると、かえって体内時計が乱れやすくなります。休みの日も、就寝・起床の時間をできるだけ一定に保つことを意識すると、疲労の蓄積を防ぎやすくなります。
現場でよく聞く、夜勤者の「なんとなく不調」
夜勤をされている方から、こんな声をよく聞きます。
「休みの日は12時間近く寝ているのに、体がだるいまま」「夜勤明けに何か食べても、なぜか胃がもたれる」「休日、家族や友人と予定を合わせるのが難しくて、気づけば一人で過ごすことが増えた」。
こうした声に共通しているのは、体だけでなく、生活リズムや人との関わり方にまで、夜勤の影響が及んでいるという点です。長時間眠っても疲労が抜けないのは、睡眠時間の長さだけでなく、睡眠の「質」が保たれていないことが背景にある場合が多くあります。日中の浅い眠りを何時間積み重ねても、夜間のまとまった深い眠りには及ばないことがあるのです。
また、生活リズムが不規則になることで、家族や友人との時間が合わせづらくなり、孤独感やストレスを抱えやすくなる方もいます。これも「なんとなく不調」の一因になり得ます。夜勤という働き方そのものが、体だけでなく生活全体に影響を及ぼしていることを、まず知っておいていただきたいと思います。
勤務パターンに合わせた工夫を
夜勤の頻度や勤務形態は人それぞれです。2交代制か3交代制か、夜勤の連続日数、次の勤務までの間隔などによっても、体への負担は変わってきます。
自分の勤務パターンの中で、「どのタイミングが一番きついか」を把握しておくことも一つの工夫です。例えば、夜勤明けの当日がつらいのか、それとも夜勤が2連続した後がつらいのか、振り返ってみると対策を立てやすくなります。きつくなりやすいタイミングの前後は、予定を詰め込みすぎず、意識的に体を休める時間を確保するとよいでしょう。
こんな「なんとなく不調」は受診のサインです
夜勤による不調の多くはセルフケアで軽減できますが、次のような場合は、我慢せず医療機関に相談してください。
■休みを取っても疲労感が全く抜けない状態が続いている
■動悸、めまい、強い頭痛など、はっきりした症状が出てきた
■気分の落ち込みが長く続き、仕事や日常生活に支障が出ている
■胃の痛みや便通異常が長期間続いている
■生理不順が続いている、または悪化している
夜勤者の方は、体調不良を「勤務形態のせい」と自己判断して、受診のタイミングを逃してしまうことが少なくありません。しかし、貧血や甲状腺機能の異常など、夜勤とは別の原因が隠れているケースもあります。「夜勤のせいだろう」と決めつけず、気になる症状があれば一度検査を受けてみることをおすすめします。
おわりに
夜勤という働き方は、体にとって決して楽なものではありません。だからこそ、「なんとなく不調」を「夜勤だから仕方ない」で片付けず、少しでも軽減できる工夫を取り入れていただきたいと思います。
そして、セルフケアだけでは改善しない不調や、不安に感じる症状がある場合は、どうぞ遠慮なくクリニックにご相談ください。夜勤で頑張る皆さんの体調を、少しでもサポートできればと思っています。
西新宿セルフライフ内科クリニック
看護師 平田
ご予約はこちら