健康診断で「動脈硬化の所見あり」「血管年齢が実年齢より高い」といった指摘を受けたことはありませんか。痛みも違和感もないのに、と戸惑う方は少なくありません。
動脈硬化は、自覚症状が出にくいまま進む変化だからこそ、早い段階で仕組みを知り、対策を始めることに大きな意味があります。このページでは、動脈硬化がどのように起こり、どう向き合えばよいのかを順を追って解説します。
動脈硬化とは
動脈硬化とは、心臓から送り出された血液を全身へ運ぶ「動脈」が、老化やダメージによって厚みを増し、しなやかさを失って硬くなった状態を指します。
健康な動脈は、心臓が血液を送り出すたびにしなやかに膨らんだり縮んだりして血流をコントロールしています。しかし動脈硬化が進むと、このしなやかさが失われ、硬く脆い状態へと変化していきます。
血管の最も内側には「内皮細胞」という薄い膜があり、本来は血液を滑らかに流す役割を担っています。ところが高血圧や喫煙、高血糖などの影響でこの内皮が傷つくと、そこから血液中の悪玉コレステロール(LDL)が血管の壁の内部に入り込みやすくなります。これが蓄積し、血管の通り道が狭くなっていく——これが動脈硬化の基本的な仕組みです。
裏を返せば、内皮を傷つける原因(高血圧・喫煙・高血糖など)をコントロールできれば、進行のスピードを抑えられるということでもあります。
動脈硬化の原因
動脈硬化は加齢によっても進みますが、生活習慣によってそのスピードは大きく変わります。主な原因は次の4つです。
脂質異常症
血液中の悪玉コレステロール(LDL)が多い状態が続くと、血管の壁に入り込みやすくなり、プラーク形成の直接的な原因になります。
高血圧
血管に高い圧力がかかり続けることで内皮細胞がダメージを受け、血管壁が硬く変化していきます。
喫煙
たばこに含まれる成分は血管を収縮させるだけでなく、内皮細胞そのものを傷つけ、脂質が蓄積しやすい「弱点」を作ってしまいます。
高血糖(糖尿病)
血糖値が高い状態が続くと、血管壁を構成するタンパク質が変性する「糖化」が進み、血管そのものが脆くなります。
これらはどれも、生活習慣の見直しや適切な治療によってコントロールできる要因です。すべてを一度に変える必要はなく、ひとつずつ取り組んでいくことが着実な対策になります。
動脈硬化の進行
初期
動脈の壁は、内側から「内膜」「中膜」「外膜」の三層で構成されています。
最も内側にある「内皮細胞」は、血液が固まらないように調整したり、血管のしなやかさを保ったりする重要なバリア機能を担っています。
しかし、高血圧や喫煙、高血糖などのストレスが加わると、この内皮細胞が傷つき、機能が低下します。すると、本来は通り抜けられないはずの血液中の悪玉コレステロール(LDL)が、血管の壁の内部(内膜の下)へと染み込んでいきます。これが動脈硬化の初期段階です。
中期
壁の内部に入り込んだコレステロールは酸化して有害な物質に変わり、それを処理するために免疫細胞が集まります。
この死滅した細胞と脂質が混ざり合い、ドロドロとした塊である「プラーク」が作られます。
このプラークが大きくなるにつれて、血管の壁は内側に向かって厚く盛り上がり、血液の通り道が物理的に狭くなっていきます。
同時に、血管のしなやかさを支える組織が壊れ、カルシウムが沈着して石のように硬くなる「石灰化」が進みます。
この段階でも、血液の流れが完全に止まっていない限り、身体に痛みなどの異変を感じることはありません。
後期
最終段階では、血管壁に溜まったプラークが限界を迎えます。
プラークを覆っている薄い膜が血流の圧力などで破れると、中身が露出します。
身体はこれを「大きな怪我」と判断し、そこを塞ごうと血液を急激に固めます。
これが「血栓(けっせん)」という大きな血の塊です。
この血栓が、既に狭くなっている血管を一瞬で完全に塞いでしまうと、その先に酸素や栄養が届かなくなります。
その結果、その先の組織や臓器の細胞が死滅する「梗塞(こうそく)」の状態に陥ります。この「梗塞」が、心臓で起きれば心筋梗塞、脳で起きれば脳梗塞となり、命に関わる激しい症状が突如として現れるのです。
自覚症状がないまま進む病気だからこそ、「今、痛くないから大丈夫」ではなく「今のうちに調べておく」という発想が有効です。特に初期〜中期のうちであれば、生活習慣の改善で進行を緩やかにできる余地は十分にあります。
動脈硬化が進むと起こりうる合併症
進行した動脈硬化は、次のような合併症につながることがあります。少し詳しい内容になりますが、「だからこそ早めに調べる価値がある」という点を知っていただくためにご紹介します。
脳血管疾患(脳卒中)
脳血流を維持する血管で動脈硬化が進行すると、大きく分けて2つの深刻な事態が起こります。
血管が完全に閉塞し、脳組織が酸素欠乏によって死滅する「脳梗塞」、そして脆くなった血管壁が血圧に耐えきれず破裂する「脳出血」です。
これらは、一瞬にして意識障害、言語障害、運動麻痺といった重篤な後遺症を残すか、あるいは生命を奪う直接的な原因となります。
心疾患(心筋梗塞・狭心症)
心臓自体に酸素と栄養を送る専用の血管を「冠動脈」と呼びます。
この冠動脈で硬化が進み、通り道が狭まって一時的に心筋が酸素不足に陥る状態が「狭心症」です。
さらに、血栓によって血管が完全に遮断されると「心筋梗塞」となり、心筋の細胞が壊死し始めます。これは激しい胸痛を伴うだけでなく、致命的な不整脈や心停止を誘発する極めて危険な状態です。
閉塞性(へいそくせい)動脈硬化症
主に足の血管(下肢動脈)で動脈硬化が進行する病態です。
初期には足の冷えやしびれを感じ、進行すると「一定距離を歩くと痛みで足が止まるが、休むと再び歩ける」という間欠性跛行(かんけつせいはこう)が現れます。
さらに悪化して血流が極端に途絶えると、足の指先などの組織が腐る「壊死(えし)」に至り、最悪の場合は切断を余儀なくされることもあります。
大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)
全身で最も太い血管である「大動脈」の壁が動脈硬化によって弾力性を失い、風船のように膨らんでしまった状態を指します。
このコブ(瘤)自体に痛みはありませんが、限界を超えて破裂すると、体内でコントロール不可能な大出血を引き起こします。破裂した際の致死率は極めて高く、事前の発見と管理が極めて重要な疾患です。
よくある質問
Q. 健診で「軽度の動脈硬化」と言われました。もう元には戻らないのでしょうか?
A.進行の程度にもよりますが、初期〜中期の段階であれば、生活習慣の改善によって進行を緩やかにしたり、状態を安定させたりすることは十分に可能です。まずは現在の血管の状態を確認することから始めましょう。
Q. 症状が何もないのですが、検査を受ける意味はありますか?
A.あります。動脈硬化は自覚症状がほとんどないまま進むため、症状が出た時点ではすでにかなり進行しているケースが少なくありません。数値や画像で早めに状態を把握することが、後の重大なリスクを避ける近道になります。
Q. 動脈硬化を改善するために、まず何から始めればよいですか?
A.血圧・血糖・コレステロールのうち、ご自身がどの要因を抱えているかによって優先順位が変わります。当院では検査結果をもとに、無理なく続けられる生活習慣の見直しをご提案しています。
西新宿セルフライフ内科クリニックでできること
当院では、動脈硬化の原因となる高血圧・脂質異常症・糖尿病について、それぞれの状態を確認したうえで、生活習慣の改善から治療まで一人ひとりに合わせてサポートしています。管理栄養士による食事のアドバイスも受けられるため、「まず何を変えればいいのか分からない」という段階でもご相談いただけます。
西新宿駅から徒歩圏内で、お仕事帰りやお昼休みにも通いやすい立地です。「健診で指摘されたが、何をすればいいか分からない」という方は、まずは一度ご相談ください。
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