
西新宿セルフライフ内科クリニック院長の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
診察室で患者さんとお話ししていると、よくこのような疑問をいただきます。
「健康診断で脂質異常症と診断されたけれど、体調に異変はないし、見た目も決して太っていない。それなのに、本当に治療を始める必要があるの?」
実は、この「見た目に異常がないから大丈夫」という思い込みこそが、最も危険な落とし穴です。
脂質異常症は、暴飲暴食などの日常的な生活習慣が原因となるだけでなく、自分では気づきにくい「見えないリスク」が複雑に絡み合って進行する病気だからです。
脂質異常症の本当の恐ろしさは、鏡に映る外見や自覚できる症状がほとんどないまま、血管の中で静かにリスクが蓄積されていく点にあります。
この病気の原因は、単なる食べ過ぎだけではありません。
自分ではコントロールできない遺伝的な体質や、外見からは分からない内臓脂肪の蓄積が、深刻な脂質異常症を引き起こしているケースも少なくないのです。
どれほど健康そうに見えても、自覚症状がないからといって放置すれば、血液中の脂質が原因となって血管は着実にダメージを受けていきます。
そこで今回は、なぜ脂質異常症が「見た目に表れないのにリスクが高い」と言えるのか、その背景にある「内臓脂肪」や「遺伝」といった隠れた原因を詳しく説明し、さらに放置した際に引き起こされる重篤な合併症についても順を追って解説していきます。 ぜひ、最後までご覧ください!
痩せていても油断禁物!?脂質異常症の隠れた原因「内臓脂肪」と「遺伝」とは?
まずはじめに、なぜ脂質異常症が見た目に表れないのにリスクが高いと言えるのか。その鍵を握る「2つの隠れた原因」について、順を追って詳しく紐解いていきましょう。
リスク①:痩せていても油断禁物「内臓脂肪型」
「自分は痩せているから大丈夫」という思い込みは、非常に危険な誤解です。
脂質異常症を引き起こす主要な原因の一つである「内臓脂肪」は、お腹の表面につく皮下脂肪とは異なり、身体の奥深くに蓄積するため、外見からはその存在を察知しにくいからです。
たとえ手足が細く、一見して標準体型に見える方であっても、内臓の隙間に脂肪が溜まった「隠れ肥満」の状態であれば、それが脂質異常症を誘発する直接的な原因となります。
内臓脂肪は、単なる脂肪の塊ではなく、実は血液中の脂質バランスをコントロールする機能を妨げる物質を放出する性質を持っています。
その結果、脂質異常症特有の悪循環を招く原因となってしまいます。
具体的には、内臓脂肪から出る物質の影響で、血液中の「中性脂肪」が増え、それをきっかけに血管を掃除してくれる「善玉(HDL)コレステロール」が減り、さらに血管を傷つける「悪玉(LDL)コレステロール」が小型化してより血管の壁に入り込みやすくなる、という負の連鎖が体内で起きてしまうのです。
このタイプの方は、目に見える変化や自覚できる症状がほとんど現れないため、健康上のリスクに気づく機会を逃し、結果的に脂質異常症を深刻化させてしまう傾向にあります。
日常の些細な食生活の乱れや運動不足といった生活習慣が原因となり、鏡に映る姿からは想像もつかないほど、体内では静かに脂質異常症による血管へのダメージが進行している可能性があります。
リスク②:努力だけでは防げない「遺伝」の問題
もう一つ、日々の努力だけでは決して解決できない脂質異常症の重要な原因が「遺伝」です。
世の中には、どれほど食事に気を使い、運動を欠かさないストイックな生活を送っていても、生まれ持った体質的な原因で数値が異常高値を示してしまう「家族性高コレステロール血症」という遺伝性の脂質異常症が存在します。
この遺伝が原因となる脂質異常症は、例えるなら「血液中の脂をキャッチして処分する機能」が生まれつき弱かったり、数が少なかったりする状態です。
本来であれば、身体の中では増えすぎたコレステロールを自動的に回収して処理する仕組みが働いていますが、その仕組みがうまく機能しないため、幼少期から血液の中に脂が溢れ出してしまいます。
このように遺伝的な影響を強く受けている場合、どれほどダイエットを頑張って食事に気をつけても、身体の中で脂を処理できないという根本的な原因がある限り、自分だけの力で数値を正常に戻すことは非常に困難です。
この遺伝が原因のタイプであっても、やはり初期の段階では痛みや違和感といった自覚できる症状は全くありません。
しかし、遺伝のせいで「血管が脂っこい血液にさらされている期間」が人よりもずっと長くなってしまうため、生活習慣が原因で起こる一般的な脂質異常症よりも、遥かに早いスピードで血管がボロボロになり、ダメージが蓄積してしまいます。
もし、ご家族の中に若くして(男性55歳未満、女性65歳未満)心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気を起こした方がいらっしゃる場合は、この遺伝性の脂質異常症が隠れた原因である可能性を真剣に疑わなければなりません。
自分では気づけないまま深刻な症状へと進んでしまうリスクを避けるためにも、まずは血液検査でご自身の体質を知ることが、将来の健康を守る第一歩となります。
放置するとどうなる?現れるのは「命に関わる症状」
なぜ、脂質異常症を「ただの数値の異常」として放置してしまうと、取り返しのつかない事態を招くのでしょうか。
その最大の理由は、この病気が私たちの命を支える「血管」の寿命を、自覚症状がないまま削り取っていくからです。
血液中にコレステロールや中性脂肪が溢れている状態が続くと、血液はドロドロになり、血管の壁には脂質のカスがこびりついていきます。
これを原因として、本来はゴムホースのようにしなやかだった血管が、古びた水道管のように硬く、脆く変化してしまいます。これが「動脈硬化」です。
脂質異常症が恐ろしいのは、血管が半分以上詰まってボロボロになっても、痛みや苦しさを全く感じさせない点にあります。
そして、ある日突然、血管が完全に詰まったり破裂したりすることで、命に直結する重篤な症状へと発展するのです。
では、脂質異常症を放置し続けた結果、最終的にどのような事態を招くのでしょうか?
血液中に溢れた脂質が原因で動脈硬化が進み、血管が完全に塞がってしまうと、その場所に応じて以下のような命に関わる病気を引き起こします。
心筋梗塞(しんきんこうそく)
心臓に血液を送る血管が詰まり、心臓の筋肉が壊死してしまう状態です。
激しい胸の痛みや圧迫感に襲われ、突然死の原因となることも多い、非常に危険な症状です。
脳梗塞(のうこうそく)
脳の血管が詰まって、脳の細胞が深刻な損傷を受けてしまう状態です。
一瞬にして手足の麻痺や言葉の障害が現れます。
一命を取り留めたとしても、その後の生活に大きな支障をきたす後遺症の原因になります。
また稀に、アキレス腱が太くなったり、まぶたに黄色い盛り上がり(黄色腫)ができたりといった、目に見える変化が身体に現れることがあります。
しかし、これらは「皮膚にまで脂質が溢れ出している」ことを示す異常事態です。
このような症状が出ているときは、すでに全身の血管が脂質異常症によって深刻なダメージを受けているという、身体からの警告といえます。
見た目の元気さや「痛くないから大丈夫」という感覚に惑わされてはいけません。
脂質異常症という「静かなる原因」が、取り返しのつかない重篤な症状を招く前に、適切な対策を講じることが何よりも大切です。
最後に:自分自身の「見えないリスク」に向き合う
脂質異常症は、見た目の体型や症状の有無だけで判断できるものではありません。
内臓脂肪という見えない不摂生が原因なのか、あるいは遺伝という自分ではどうにもできない体質が原因なのかを正しく知ることが、脂質異常症治療の第一歩となります。
遺伝が原因であれば適切な薬物療法が必要ですし、内臓脂肪が原因であれば生活習慣の改善が不可欠です。
目に見える不快な症状が出るのを待っていては手遅れになります。
遺伝の影響を心配される方も、内臓脂肪が気になる方も、まずは血液検査でご自身の本当の状態を確認してください。
脂質異常症という「目に見えない原因」をいち早く特定し、血管へのダメージを最小限に抑えることは、将来の深刻な症状を未然に防ぐための、最も確実で効果的な防衛策といえます。ご自身の数値を正しく把握し、早めの一歩を踏み出すことこそが、健やかな未来の自分を守るための、何よりの鍵となります。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、「すべての世代が安心して生活できる人生」の実現を目指し、日常に寄り添う医療を提供しています。
私たちが大切にしているのは、「把握・体験・納得」が1日で完結する医療です。
① 把握
まず大切なのは、「今の自分の状態を正しく知ること」です。
当院では、血液検査やX線検査をはじめとした7種類の検査を実施しており、最短10分で結果をご確認いただけます。
忙しい毎日の中でも、その日のうちにご自身の体の状態を把握し、必要な対応につなげられる環境を整えています。
② 体験
医療を受ける時間そのものも、できるだけ負担の少ないものでありたいと考えています。
そのため当院では予約制を導入し、待ち時間を最小限に抑えています。
また、事前決済にも対応しているため、会計待ちの時間も短縮可能です。
「病院に行くのは大変」「時間がかかる」というストレスを減らし、無駄のないスムーズな医療体験を提供します。
③ 納得
患者様一人ひとりに、大切にしたい生活や価値観があります。
だからこそ当院では、「ただ治療を受ける」のではなく、ご自身が納得しながら選べる医療を大切にしています。
管理栄養士を中心とした医療チームが丁寧に対話を行い、生活背景や日々の過ごし方に合わせた治療設計を一緒に考えていきます。
治療の本当のゴールは、単に数値を改善することではありません。
仕事や家庭、趣味や大切な人との時間を、自分らしく前向きに楽しめる毎日を取り戻すこと。
そして、「ここに来てよかった」と少しでも安心して帰っていただくことです。
診察を終えてクリニックのドアを出るとき、来院前より少しだけ足取りが軽くなり、前向きな気持ちになれる。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、そんな皆さまの“身近な相談窓口”でありたいと考えています。
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