
こんにちは、西新宿セルフライフ内科クリニック院長の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
「健康診断で少し血圧が高めと言われたけれど、特に体調は悪くないから大丈夫」
「『血圧高め』なんて、年齢を重ねれば誰にでもあること」
このように考えて、健康診断の結果を放置していませんか?
高血圧は自覚できる症状がほとんどないまま、私たちの身体の中で最も繊細な臓器の一つである「腎臓」を、知らないうちにじわじわと壊していく性質を持っています。「血圧が高いことと、腎臓に何の関係があるの?」と思う方も多いかもしれません。この2つを結びつける最大の原因は、腎臓の特殊な構造にあります。
今回は、高血圧と「腎臓へのダメージ」のメカニズムや原因についてお話ししたいと思います。 ご自身の未来の健康を守るための第一歩として、ぜひ最後までお読みください!
そもそも高血圧とは?
そもそも高血圧とはどのような状態を指すのか、まずは高血圧の定義と判断基準から見ていきましょう。
高血圧とは、安静にしている状態でも、慢性的に血管にかかる圧力が高い状態が続いていることを言います。
一般的に、病院の診察室で測定した場合は「最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上」、リラックスした自宅で測定する家庭血圧の場合は「最高血圧が135mmHg以上、または最低血圧が85mmHg以上」が高血圧の基準とされています。
しかし、注意しなければならないのは、この基準値に達していなくても、正常値(120/80mmHg未満)を超えて「血圧が高め」になっている段階から、血管は少しずつ確実にダメージを受け始めているという事実です。
血圧が上がってしまう背景には、塩分の摂りすぎや運動不足といった生活習慣の乱れが主な原因としてあります。また、肥満やストレス、喫煙なども血圧を上昇させる大きな原因となります。
この高血圧ですが、血圧がかなり高い状態であっても、日常生活の中で自覚できる明確な症状がほとんど現れないことが特徴です。
「血圧が高くなると、頭痛やめまい、肩こりといった症状が起きるのでは?」と思われがちですが、実際にはこれらは血圧が極端に急上昇したときや、他の体調不良が重なったときに稀に起こる程度です。多くの人は、「無症状」で普通に生活を送ることができてしまいます。
しかし、症状がないからといって、体内が安全なわけではありません。身体の中では、具体的にどんな影響が起こっているのでしょうか。
それでは、高血圧によってダメージを受ける臓器の一つである「腎臓」への影響について見ていきたいと思います。
高血圧によっておこる腎臓への影響とは?
なぜ、血圧が高いと腎臓が影響を受けてしまうのでしょうか。
このお話しをする上で、『腎臓は「血管の塊」であるという事実』という点が重要になってきます。どういうことなのでしょうか。
まず、腎臓という臓器が身体の中でどのような役割を果たしているかをおさらいします。
腎臓は腰のあたりに左右1つずつある、ソラマメのような形をした臓器です。
主な仕事は「体内の血液を24時間きれいに掃除し、老廃物や余分な水分を尿として体外に捨てること」です。
この血液を綺麗にするフィルターの役割を果たしているのが、腎臓の中に片方で約100万個、左右合わせて約200万個も存在する「糸球体(しきゅうたい)」という組織です。この糸球体は、実は毛細血管という非常に細い血管が網の目のように丸く集まってできています。
つまり、腎臓という臓器の本質は、まさに「細い血管の塊」なのです。高血圧が腎臓病の大きな原因になるのは、この繊細な血管組織が悲鳴を上げてしまうからに他なりません。
高血圧が腎臓を破壊するメカニズム
血管の塊である腎臓に、慢性的な高血圧の圧力がかかり続けるとどうなるでしょうか。
①毛細血管が傷つき、硬くなる(腎硬化症)
繊細な網の目である糸球体の血管に、毎日強い圧力が加わることで、血管の壁が次第に厚く、硬くなっていきます。これが「腎硬化症(じんこうかしょう)」です。血管の柔軟性が失われることが、血液の流れを悪くし、フィルターとしての機能を低下させる原因になります。
➁フィルターが詰まり、壊れる
機能が落ちた糸球体は、徐々に潰れて働かなくなっていきます。
一度潰れてしまった糸球体は、二度と元には戻りません。200万個あるフィルターが、血圧の攻撃によって、1個、また1個と静かに壊れていくのです。
③尿にタンパクが漏れ出す
通常、健康な腎臓のフィルターは、身体に必要な「タンパク質」をキャッチして血液中に戻し、不要な老廃物だけを尿として排出します。しかし、高血圧によってフィルターがボロボロになると、本来漏れてはいけないタンパク質が尿に漏れ出してしまいます。
これが、腎機能低下を知らせる代表的な原因指標となる 「尿蛋白(にょうたんぱく)」という症状です。
「負のスパイラル」の始まり
高血圧が原因で腎臓がダメージを受けると、今度は腎臓の機能低下が、さらなる高血圧を引き起こすという「負のループ」が完成します。
腎臓の機能が落ちると、身体の中の余分な塩分や水分を尿として十分に排出できなくなります。行き場を失った水分は血液の中に溜まるため、全体の血液量がカサ増しされ、血管を内側からパンパンに押し広げます。これにより、血圧はさらに上昇します。その上、腎臓は血圧を調整するホルモンを分泌しているため、腎臓の狂いが血圧上昇の直接的な原因にもなってしまうのです。
【負の連鎖】
血圧が上がる ➔ 腎臓の血管が傷つく ➔ 腎臓の機能が落ちる ➔ 水分や塩分が溜まり、血圧がさらに上がる ➔ 腎臓がもっと傷つく……
進行するとどうなるか?「慢性腎臓病」から「人工透析」へ
この負の連鎖を放置し続けると、病態は「慢性腎臓病」という段階に進行します。
腎臓の機能が著しく低下した状態です。
そして最終的な状態が「腎不全」です。
腎臓が完全に働かなくなると、体内に毒素が回り、命を維持できなくなります。
そうなった場合、生き続けるためには、自分の腎臓の代わりに機械で血液を綺麗にする「人工透析」という治療を導入するか、腎臓移植を行うこととなります。
腎臓が発する「サイレントなSOS」に気づくには?
腎臓もまた、非常に我慢強い臓器であり、機能が30%〜40%程度まで落ち込むまでは、これといった目立つ自覚症状を出しません。
しかし、機能がかなり低下してくると、身体は以下のような形でSOSのサインとなる症状を出し始めます。
・尿の異常
尿が異常に泡立つ(タンパク尿のサイン)、夜間に何度もトイレに起きる
・むくみ(浮腫)
排出できない水分が体に溜まり、朝方に顔が腫ぼったくなったり、夕方に足の甲や脛(すね)がパンパンにむくんで靴がきつくなったりする
・体調不良
貧血によるだるさやめまい(腎臓は赤血球を作るホルモンも出しているため)、疲れやすさ、動悸
これらの症状が自覚できるレベルになっているということは、すでに腎臓へのダメージがかなり深刻な段階(慢性腎臓病の中期以降)まで進んでしまっている可能性が高いと言えます。だからこそ、こうした目に見える症状が出る前の「血圧高め」と指摘された段階で、早めに手を打たなければならないのです。
最後に
ここまで、高血圧がもたらす腎臓への影響をお伝えしてきました。
改めて強調したいのは、高血圧も腎臓の病気も、どちらも「初期にはまったく症状が出ない」という共通点を持っていることです。
痛くも痒くもないからといって、健康診断の「血圧高め」「尿蛋白陽性」という判定を無視することは、自宅の火災報知器が鳴っているのに「まだ煙が見えないから大丈夫」と電池を抜いて放置するようなものです。気づいたときには、家全体すなわちご自身の身体全体が燃え盛る手遅れの状態になってしまいます。
「血圧が高め」と気づけた今の段階であれば、血圧上昇の原因となる生活習慣をコントロールし、進行を食い止め、腎臓を守り抜くことは十分に可能です。
今日からできる対策をいくつかまとめてみました。
・毎日の食事で、「減塩」を意識する
ラーメンのスープを残す、減塩調味料を使うなどの工夫をする(1日6g未満が理想です)
・日常の中で「軽い運動」を取り入れる
エレベーターではなく階段を使うなど、無理のない範囲で動かしましょう
・毎朝・毎晩、自宅で「血圧を測定する習慣」をつける
自分の身体の変化を数値で把握することが大切です
・健診の結果を持って、一度医療機関を受診する
「あのとき動いておいて本当によかった」と未来の自分が思えるように、ぜひ今日から血圧の管理、そして生活習慣の改善をスタートさせてみてください。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、「すべての世代が安心して生活できる人生」の実現を目指し、日常に寄り添う医療を提供しています。
私たちが大切にしているのは、「把握・体験・納得」が1日で完結する医療です。
① 把握
まず大切なのは、「今の自分の状態を正しく知ること」です。
当院では、血液検査やX線検査をはじめとした7種類の検査を実施しており、最短10分で結果をご確認いただけます。
忙しい毎日の中でも、その日のうちにご自身の体の状態を把握し、必要な対応につなげられる環境を整えています。
② 体験
医療を受ける時間そのものも、できるだけ負担の少ないものでありたいと考えています。
そのため当院では予約制を導入し、待ち時間を最小限に抑えています。
また、事前決済にも対応しているため、会計待ちの時間も短縮可能です。
「病院に行くのは大変」「時間がかかる」というストレスを減らし、無駄のないスムーズな医療体験を提供します。
③ 納得
患者様一人ひとりに、大切にしたい生活や価値観があります。
だからこそ当院では、「ただ治療を受ける」のではなく、ご自身が納得しながら選べる医療を大切にしています。
管理栄養士を中心とした医療チームが丁寧に対話を行い、生活背景や日々の過ごし方に合わせた治療設計を一緒に考えていきます。
治療の本当のゴールは、単に数値を改善することではありません。
仕事や家庭、趣味や大切な人との時間を、自分らしく前向きに楽しめる毎日を取り戻すこと。
そして、「ここに来てよかった」と少しでも安心して帰っていただくことです。
診察を終えてクリニックのドアを出るとき、来院前より少しだけ足取りが軽くなり、前向きな気持ちになれる。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、そんな皆さまの“身近な相談窓口”でありたいと考えています。
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