こんにちは、西新宿セルフライフ内科クリニック院長の橋本将吉(ハシモトマサヨシ)です。
皆さんは「脂肪肝」という病気を詳しく知っていますか?
実は日本の脂肪肝の割合は、男性では3人に1人、女性では5〜6人に1人と言われているほど、今や誰もが当事者になり得る身近な「国民病」となっています。
脂肪肝とは、一言で言うと「肝臓に余分な脂肪が溜まりすぎて、フォアグラのようになってしまった状態」のことです。
医学的には、肝細胞の30%以上に脂肪が溜まった状態とはどのようなものか、という基準で診断されますが、この病気の最大の特徴であり、何よりも厄介なところは、初期段階では自覚症状が「全く出ない」という点にあります。
お腹が痛くなることもなければ、分かりやすい症状も一切出ないため、健康診断の数値で指摘されても「どこも悪くないから」とついつい放置されてしまいがちです。
では、なぜ肝臓にこれほど脂肪が溜まってしまうのでしょうか。
その主原因は、私たちが日常的に繰り返している生活習慣の乱れにあります。脂肪肝の原因といえば「お酒の飲みすぎ」をイメージする方が多いですが、実は現代人で圧倒的に増えているのは、お酒を飲まない人の脂肪肝です。
白米やパン、麺類といった「糖質の摂りすぎ」や脂っこいものの食べすぎ、運動不足による消費エネルギーの低下、さらには日常的なストレスや睡眠不足も、体内の代謝を狂わせて脂肪を溜め込む大きな原因となっています。
このように、脂肪肝の原因は私たちの日常のあちこちに潜んでいます。
では、明確な症状がないからといってそのまま放置していると、私たちの体内では一体どのようなトラブルが起こり始めるのでしょうか。
今回は、脂肪肝を放置すると起こる合併症について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
脂肪肝そのものの合併症とは?
脂肪肝とは、ただ肝臓に脂肪がついているだけの「よくある軽い状態」だと甘く見てはいけません。
自分では気づけるような自覚症状がないからとそのまま放置していると、体内では肝臓そのものが少しずつ、破壊されていくという非常に危険な合併症のリスクが進行していきます。
①脂肪性肝炎(肝臓の炎症)への進行
脂肪でパンパンになってしまった肝臓を放置すると、溜まった脂肪が体内で徐々に「酸化(劣化)」し始めます。
この劣化した脂肪が引き金となり、今度は肝臓の中で組織が激しく傷つく「炎症」が起こり始めます。
この状態を「脂肪性肝炎」と呼びます。
この脂肪性肝炎の最も危険なところは、お酒を1滴も飲まない人であっても、この炎症が引き起こされてしまう点にあります。
この脂肪性肝炎の段階に突入すると、激しい炎症によって「肝臓の細胞が次々と壊れる」という重大な局面に突入してしまいます。
本来ならすぐに治療を始めなければいけない段階なのですが、これほど危険な状態が体内で進んでいても、痛みやだるさといった目立った自覚症状は一切出ません。そのため、本人は全く気づくことができず、静かに次の深刻なステージへと進んでしまうのです。
②肝硬変と肝がん
肝臓の中で起きている炎症が何年も、何十年も長期間続くと、傷ついた細胞を修復しようとする過程で、肝臓の組織が徐々に硬くなってしまいます。
この硬い組織が肝臓全体に広がり、本来の柔らかさを失ってカチカチに縮んでしまう病気、それこそが「肝硬変(かんこうへん)」です。
肝硬変にまで進行してしまうと、お腹の中に大量の水が溜まる「腹水(ふくすい)」や、皮膚や白目の部分が黄色くなる「黄疸(おうだん)」、さらには日常生活が送れないほどの強烈なだるさといった、目に見えて重い症状が一気に身体に現れ始めます。
そして、一度カチカチに硬くなってしまった肝臓の細胞からは、最終的に「肝がん」が発生する危険性が極めて高くなります。
自覚症状がないからと最初の小さなサインを無視し続けた結果、お腹の中で数十年の時間をかけて、最終的には命に関わるがんへと進行してしまう。
これこそが、脂肪肝が危険な病気だと言われる最大の理由なのです。
最初の段階では単なる脂肪の蓄積だったものが、最終的には「がん」という重篤な症状にまで繋がってしまうのは非常に重大な問題です。
しかし、脂肪肝の本当の危険はこれだけにとどまりません。
実は、肝臓に溜まりすぎて溢れ出した脂肪の悪影響は、血液の流れに乗って一気に全身のあらゆる場所へと広がり、命に直結するさらなる大病の引き金、つまり新たな原因を次々と作ってしまうのです。
脂肪肝の全身の合併症とは?
皆さまは、「脂肪肝」と聞くと単に肝臓だけの病気をイメージしませんか?
しかし実は、脂肪肝を抱える人が最も命を落とす危険性が高い原因は、肝臓の病気ではなく「心臓や血管の病気」だという事実を知っていますか?
肝臓に脂肪が多く蓄積している状態は、決してそこだけの問題にとどまらず、全身の健康に致命的な悪影響を及ぼす最初のきっかけとなってしまいます。
では、なぜ肝臓に溜まった脂肪が、心臓や脳の命に関わる大病にまで直結してしまうのでしょうか。その具体的な原因と仕組みとは、主に次の2つの大きな問題が深く関係しています。
①脳卒中や心筋梗塞を招く「動脈硬化」
肝臓には、体内の脂肪を処理して蓄える働きがありますが、その許容量を超えるほどの脂肪が溜まってしまうと、処理しきれなくなったコレステロールや中性脂肪などの脂質が、血液中に大量に溢れ出すようになってしまいます。
これが原因となり、全身をめぐる血管の内側の壁に脂質が少しずつ張り付いて蓄積していきます。
その結果、本来はゴムのように柔らかい血管がカチカチに硬くなり、内側が細くなってしまう「動脈硬化」という状態が急速に進行します。
動脈硬化が進むと、血管は血液をスムーズに流すためのしなやかさを失い、血液の通り道がどんどん狭くなっていきます。
そしてある日突然、狭くなった場所に血液の塊が詰まって脳の血流がストップする「脳卒中」や、心臓に酸素を送る血管が完全に詰まる「心筋梗塞」を引き起こす直接的な原因になります。
これらは最悪の場合、突然死を招く非常に危険な病気です。
脂肪肝とは、一見すると肝臓だけの問題に思えますが、実はこうした命に関わる重大な血管の病気を引き起こす、極めて大きな要因なのです。
② 糖尿病との「悪循環」
また、脂肪肝は、血液中の糖分のバランスが崩れる「糖尿病」を発症させたり、すでに糖尿病を患っている方の状態をさらに悪化させたりする強力な原因にもなります。
私たちの身体には、食事によって上がった血糖値を下げるために、膵臓(すいぞう)から「インスリン」というホルモンが分泌されています。
通常、このインスリンの命令を一番に受け取って糖を処理してくれるのが肝臓なのですが、肝臓に脂肪が過剰に溜まっていると、インスリンがいくら命令を出しても肝臓がそれを無視するようになってしまいます。
インスリンの働きが著しく悪くなって血糖値が下がらなくなると、糖尿病が悪化します。
そして、糖尿病が悪化して血液中に糖分が余り続けると、身体はその余った糖分をさらに肝臓で脂肪へと作り変えてしまうのです。これにより、脂肪肝がさらに悪化するとい「悪循環」に陥ります。
この状態を放置してしまうと、糖尿病が進行し、目の奥にある網膜の病気による視力低下や失明、血液をろ過する腎臓の機能低下(人工透析が必要になるリスク)など、糖尿病特有の深刻な症状を一気に引き起こすことになります。全身のあらゆる臓器が傷ついていく、極めてリスクの高い状態と言えます。
肝臓の病気にとどまらず、脳卒中や糖尿病といった全身の合併症の原因にまでなってしまう脂肪肝。
このように、脂肪肝は肝臓がんのリスクを高めるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病の悪化など、全身の命に関わる重篤な合併症を引き起こす原因となってしまいます。
初期段階では自覚症状が一切出ないからこそ、放置してしまうことのリスクを正しく理解し、手遅れになる前に適切な対応を取ることが何よりも重要です。
最後に
脂肪肝とは、進行するまでは全く痛みがなく、明確な悪い症状を現さない病気です。そのため、健康診断で「脂肪肝の疑い」という結果が出ても、つい「忙しいから」「どこも痛くないから」と後回しにされてしまいがちです。
しかし、脂肪肝とは決して軽視していいものではなく、身体の中に明確な原因や重い症状が出てからでは、すでに肝硬変や動脈硬化が進んでしまっており、傷ついた臓器や血管を元に戻す治療はとても難しくなってしまいます。
まだ症状を感じていない「今」だからこそ、脂肪肝の進行を食い止め、未来の大きな病気を未然に防ぐ最大のチャンスです。「痛みのない今、専門家に診てもらうこと」こそが、将来のあなたの健康を確実に守るための選択と言えます。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、「すべての世代が安心して生活できる人生」の実現を目指し、日常に寄り添う医療を提供しています。
私たちが大切にしているのは、「把握・体験・納得」が1日で完結する医療です。
① 把握
まず大切なのは、「今の自分の状態を正しく知ること」です。
当院では、血液検査やX線検査をはじめとした7種類の検査を実施しており、最短10分で結果をご確認いただけます。
忙しい毎日の中でも、その日のうちにご自身の体の状態を把握し、必要な対応につなげられる環境を整えています。
② 体験
医療を受ける時間そのものも、できるだけ負担の少ないものでありたいと考えています。
そのため当院では予約制を導入し、待ち時間を最小限に抑えています。
また、事前決済にも対応しているため、会計待ちの時間も短縮可能です。
「病院に行くのは大変」「時間がかかる」というストレスを減らし、無駄のないスムーズな医療体験を提供します。
③ 納得
患者様一人ひとりに、大切にしたい生活や価値観があります。
だからこそ当院では、「ただ治療を受ける」のではなく、ご自身が納得しながら選べる医療を大切にしています。
管理栄養士を中心とした医療チームが丁寧に対話を行い、生活背景や日々の過ごし方に合わせた治療設計を一緒に考えていきます。
治療の本当のゴールは、単に数値を改善することではありません。
仕事や家庭、趣味や大切な人との時間を、自分らしく前向きに楽しめる毎日を取り戻すこと。
そして、「ここに来てよかった」と少しでも安心して帰っていただくことです。
診察を終えてクリニックのドアを出るとき、来院前より少しだけ足取りが軽くなり、前向きな気持ちになれる。
西新宿セルフライフ内科クリニックは、そんな皆さまの“身近な相談窓口”でありたいと考えています。
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